【野球の走り専門家が解説】野球の走り込みは無駄?重要性やメリット・デメリットを解説

野球界で尽きない、走り込みについての議論

多くの方が、根拠なく残る走り込みに疑問を抱き、苦しい思いをしてきました。

『イヤイヤ走る』

この中での走り込みはかなり危険です。


今回の結論は

野球選手に走り込みは必要なの?

良い走りでの走り込みはOK(パフォーマンスを上げる)

悪い走りでの走り込みはNG(パフォーマンスを下げる)

よくある話は

  • 『足腰を鍛える』
  • 『試合で走り込むシーンはない』
  • 『走れる選手がやはり強い』 など

言っていることはわかるが、少し雑。

今回は、少し論理的に見ていきましょう。

山中 昇

野球選手への走り方指導に特化した専門会社
株式会社 走研究所』の代表取締役

野球チームへの走り指導経験が90チーム以上
総勢2,000人を超える野球選手への走り方指導
100m走の自己ベストは10秒台の元陸上短距離選手

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目次

野球の走りを改善するなら走研究所がおすすめ

野球はランナーがホームに帰還することで得点となります。そのため、ランナーの動きが得点に直結していると言っても過言ではありません。ただ、走塁といってもどのような指導が正しいのかわかっていない指導者も多いです。

そこで、野球の走りを改善するなら走研究所がおすすめです。走研究所は、日本初の野球選手の走りに特化した専門会社です。走研究所では、個人指導、チーム指導どちらにも対応していて、ここまでの指導実績は90チーム以上、延べ指導数2000人超えです。

走研究所の走り方指導の特徴は以下のとおりです。

  • 野球の走りに特化した指導メニュー
  • 打つ・投げる・守るにも応用できる走りを学べる
  • 受講後も継続してアドバイスを受けられる
  • 「走り」について前向きに考えるきっかけになる
  • 努力の方向性や考え方を学んで今後のスポーツ人生に活かせる

走研究所の走り方指導で、今後の野球のパフォーマンスが上がるだけでなく、今後のスポーツ人生にも大きな恩恵をもたらすでしょう。走研究所の走り方指導が気になるという方は、ぜひ走研究所公式HPをご覧ください。

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野球界における走り込みのリアル

走り込みといっても、様々な種類があります。

以下は、X(旧Twitter)でとったアンケート結果↓

近年は短いダッシュが多い傾向のようです。

種類によっても、走り込みのメリットデメリットは違います。

後ほど整理します。

走り込みの良し悪しは、”走り方”が決める

前述の通り、良い走りでの走り込みはOK、悪い走りでの走り込みはNGです。

悪い走りがパフォーマンスを下げる

悪い走りでの走り込みを続けると、以下のようなデメリットを生じます。

  • 膝痛、腰痛のリスクUP
  • 前もも、もも裏、ふくらはぎなどの肉離れや筋損傷のリスクUP
  • 回旋しにくい身体になる
  • 末端部に頼る身体の使い方になる

③④については、投打や守備などにも悪影響が及びます。

悪い走りとは?

極端な写真で比較します。

1時間、左写真と右写真の体制でキープしたら、どっちがしんどい?

右がしんどいですね

お尻が後ろに残っている右写真のような走りは

膝関節周辺や前ももに過度に負担がかかり、

①~④のデメリットを引き起こしやすくなります。

イヤイヤ走ると、右写真の走りになりがちです。

消極的な気持ちで挑む走り込みは、とてもリスクがあります。

良い走りとは?

左写真のように、身体のほぼ真下に接地する走りは身体への負荷も少ないです。

長距離走の時は、こんなイメージで姿勢良く、走りましょう。

しかし0~30m程度の短い距離の場合は、
左写真のようなイメージです

重心(体重)が前に崩れている走りを目指します。

良い走りでの走り込みはOK(パフォーマンスを上げる)
悪い走りでの走り込みはNG(パフォーマンスを下げる)

です。

良い走りにするためにどうすればいいか。

この記事については今後また。

プロでも走り込みをしていて無駄ではない

一部のプロ野球選手やメジャーリーガーの中には「野球には走り込みが不要」と考える方も中にはいます。しかし、プロの一流ピッチャーでも、野球場のレフト戦からライト戦まで走り込む「ポール間ダッシュ」を行う連取メニューを取り入れている選手もいます。

プロ野球選手の場合、「トレーニングメニューの1つ」や「体にかかる負担を増加させる」などの目的で、走り込みを行う本数や強度を調整しています。ただし、単純に走り込みをしても、期待以上のパフォーマンス向上は期待できません。

走り込みのメリット、デメリット一覧

メリットは走る距離によって異なります。

取ったアンケートの距離のイメージで整理します。

短いダッシュ長めの短距離長い距離
良い走り・筋パワーUP
・加速力UP
・強いパワーを発揮し続ける力UP
・最高速度UP
・心肺機能UP
・筋持久力UP
悪い走り・怪我のリスク
・回旋動作が苦手になる
・瞬発的なパワーの低下
・怪我のリスク
・回旋動作が苦手になる
走り込みのメリット・デメリット

悪い走りでの走り込みはいずれも危険です。ピッチャーの長距離走り込みは、パワーが低下してしまうという分析(Rhea et al.(2008))もあります。ここからは、メリット、デメリットについて詳しく解説していきます。

走り込みを行うメリット

走り込みを行うメリットは5つあります。

  • スタミナが向上する
  • 心肺機能が向上する
  • 体幹と四肢の連動性が向上する
  • 下半身の筋力を強化できる
  • 実戦に近い状態で同じ動きを繰り返す練習になる

それぞれのメリットを詳しく解説します。

スタミナが向上する

走り込みは心肺持久力の向上が期待できるため、スタミナがつきます。野球の練習は、キャッチボールから守備練習、バッティング練習など、さまざまな練習を繰り返し行います。

つまり、さまざまなメニューを1日でこなすからこそ、持続的に筋肉を動かすためのスタミナが必要になる訳です。スタミナの向上が期待できるトレーニングメニューは、5分間走や20分間走、インターバル走などがおすすめです。

心肺機能が向上する

走り込みを行うことで、心肺機能の向上も期待できます。心肺機能が向上することで、激しい運動を行った際に息切れなどでスタミナ切れする可能性が低くなるでしょう。野球の練習は、朝早い時間から夜の遅い時間まで長い期間かけて行います。

つまり、ランニングや短距離ダッシュには、一定以上の心肺機能がなければ、持続的にパフォーマンスを継続させることはできません。

体幹と四肢の連動性が向上する

走り込みなどの動作は、一定のリズムで左右対象に体幹部と四肢を連動させる効果が期待できます。走り込みの動きを繰り返すことで、結果的にバッティングやピッチングを行う際に体がブレることなく、調整する力を養うことにつながります。

下半身の筋力を強化できる

走り込みを行うことで、下半身の筋力を向上させることも可能です。特に短距離ではなく、ゆっくりとしたペースで走り込みを行うことで、下半身の筋力が強化しやすくなります。実際にランニングを行うだけでも、足腰には、体の4倍〜5倍の負荷がかかっています。

つまり、リズムよく筋肉を使うことで、低酸素状態になっても、筋肉がつきやすくなります。

実戦に近い状態で同じ動きを繰り返す練習になる

野球は、一塁まで走り抜ける瞬発力や投げる・打つ動作を持続させる持続力などが必要になるスポーツです。走り込みを行うことで、実践に近い状態で同じ動きを繰り返す練習ができます。

ただし、前提として良い姿勢で走り込みを行うことが重要です。悪い姿勢で走り込みを行っても、パフォーマンス能力が低下してしまいます。

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走り込みを行うデメリット

走り込みを行うデメリットを2つ解説します。

  • 体重が落ちてしまう
  • 疲労が蓄積する

体重が落ちてしまう

過度な走り込みは、体に疲労が蓄積するだけでなく、急激な走り込みにより、エネルギー消費量が余計に大きくなります。野球選手において、体重の減量はパフォーマンス低下につながります。

野球選手として相応しい体重と筋肉量を維持させるためにも、走り込みの本数や走り込みを行う距離を調整しましょう。

疲労が蓄積する

過度な走り込みは疲労を蓄積させる原因になります。疲労が蓄積してしまうと、集中力が低下するため、技術を習得するための練習効率が低下します。

走り込みを行った後は、疲労が体に蓄積しないためにも、運動後のケアや休息をしっかりとることをおすすめします。

効果が期待できる走り込みのポイント

効果が期待できる走り込みのポイントを3つ解説します。

  • フォームを崩さないようにする
  • 体幹と四肢の連動を意識する
  • 距離を伸ばしすぎないようにする

それぞれのポイントを詳しく解説します。

フォームを崩さないようにする

走り込みを繰り返すことで、体にかかる負担が増加してしまいます。ただし、きつい走り込みを行う際には、フォームを崩さないように意識しましょう。正しいフォームは、ピッチングやバッティングに共通して適切なフォームを維持するために必要です。

体幹と四肢の連動を意識する

走り込みを行う際に。体幹と四肢の連動を意識することで、パフォーマンス向上につながります。特に、腕や足をうまく連動させることで、疲労改善や体の連動性向上が期待できます。

適切なフォームを意識することで、投げる・打つ・走る動作の基礎を作れます。

距離を伸ばしすぎないようにする

野球は瞬発力が必要になる動きを連続的に行うスポーツです。そのため、最長でもベース1周の約130m以上を試合で走ることは滅多にありません。有酸素運動になる距離のランニングは、血流を良くし、疲労を回復させる効果が期待できます。

逆に距離を伸ばしすぎる「オーバーワークの走り込み」は、パフォーマンス低下や疲労の蓄積につながる恐れがあるため注意しましょう。

走り込みの方法にはどのような練習方法がある?

走り込みをする際は、以下の3つの練習方法がおすすめです。

  • 持久力を養う練習
  • トップスピードに乗る練習
  • 下半身の筋力を強化する練習

それぞれの練習方法を詳しく解説します。

持久力を養う練習

持久力を養う練習メニューは以下のとおりです。

  • 5分間走
  • 20分間走
  • インターバル

上記のトレーニングを行うことで、最大心拍数の約60%以上の強度を保ちます。持久力を養うトレーニングでは、パフォーマンスの持続力を養う効果も期待できます。

そのため、日々の練習メニューに取り入れることで、安定的なパフォーマンスを残せるようになるでしょう。

トップスピードに乗る練習

野球は一瞬の動きでトップスピードに乗る必要があるスポーツです。トップスピードに瞬間的に乗るためには「30mダッシュ」を繰り返し練習しましょう。

30mダッシュを行う際のポイントは、リードをするような構えを取り、スタートを切る最初の3歩〜6歩までをつま先で押す感覚で走ることです。6歩目以降は、徐々にスピードを落とし、リラックスして走りましょう。

下半身の筋力を強化する練習

走り込みは下半身の筋力強化も期待できます。具体的には、以下の走り方がおすすめです。

  • 地面を真下に踏み込むよう、16歩〜20歩ぐらいまで全力で走る
  • ゆっくりとしたペースで20分間走り続ける

下半身の筋力を強化することで、パフォーマンスを最大限発揮できる能力が身につきます。

おすすめの走り込みメニューを1つに厳選

私が圧倒的におすすめする走り込みはは

良い走りでの30mダッシュです(もしくは塁間距離)。

うまく走れるのであれば、10本に留まらず30本くらい走っても良いくらいです。

『良い走りが難しい』というのが現状だと思うので、

分からない間は、10本程度に控えておくのが無難です。

野球の走り込みメニューについて詳しく知りたいという方は、以下記事をあわせてご覧ください。

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おわりに

しきりに良い走りのことを述べましたが、それほど大切なことです。

良い走りが難しいんだ(涙)

という声が聞こえてきそうですが

ここ抜きには『走り込みは無駄なのか』問題は解消されません。

良い走りでの走り込みはOK(パフォーマンスを上げる)
悪い走りでの走り込みはNG(パフォーマンスを下げる)

です。

良い走りを学ぶ文化が当たり前になりますように。

参考文献
・野球の投球速度・バットスイング速度に影響をもたらす体力因子.澤村省逸、鎌田安久、栗林徹、清水茂幸、上濱龍也、黒川國児、福士宏紀.岩手大学研究紀要第5号53-62.2006
・大学野球の期分けにおける一般的準備期のランニングトレーニングが試合期の大学生投手の実戦状況下パフォーマンスに与える影響.赤池行平
・Rhea et al.(2008)Noncompatibility of power and endurance training among college baseball players.J Strength Cond Res.22(1):230-4.

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野球はランナーがホームに帰還することで得点となります。そのため、ランナーの動きが得点に直結していると言っても過言ではありません。ただ、走塁といってもどのような指導が正しいのかわかっていない指導者も多いです。

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